どうにも解せないのは――

 よもやのアップセットが起こった。バルセロナとチェルシーが戦ったチャンピオンズ・リーグ準決勝は欧州連覇を狙った前者が後者の堅いディフェンスを崩せず、2戦合計2-3で敗退。チェルシーがファイナル進出を決めたのだ。

 

 実に見応えある攻防戦で、とりわけカンプ・ノウでの第2レグはエキサイティングだった。しかしながら、どうにも解せないのは、勝利したチェルシーの試合内容を中傷する意見が多い点だ。その大半はバルセロナ・ファンによるもので、バルセロナのスペクタクルなフットボールに比して、確かにチェルシーのそれはディフェンシブだろう。観ていて楽しいとは言えない。とはいえ、負けた腹いせに勝者のスタイルにケチをつけ、まるで善が悪に敗れたかのような意見が多く聞かれるのは、残念きわまりない。

 

 世界のさまざまなフットボール・シーンにおいて、バルセロナのパス主体のスタイルはお手本とされ、目標なり理想とされている。だからといって、彼らが全知全能の神で、永遠に無敗のチームだとしたら? そういったチームが敗れるところにこそ、フットボールの魅力が凝縮されているのではないのか。わたしはそう叫びたいのだ。

 

 5月19日にミュンヘンで開催される決勝戦で、チェルシーはバイエルンと対峙する。敵はバルセロナに優るとも劣らない攻撃的なチームで、ジョン・テリーやラミレスなど主力に出場停止者が多いチェルシーは、勝てるはずがないと揶揄されている。だが、フットボールとはそんなに簡単なスポーツだろうか。わたしはそうは思わない。

 

ALL THE BEST

 

 

 

 

私が投票したのは、アーセナルの絶対的エース

 イングランドには、ふたつの「フットボーラー・オブ・ジ・イヤー」がある。

 

 ひとつは、プレミアリーグのプロ選手協会(PFA)が主催するもので、選手たちの投票でベストプレーヤーを選出する。もうひとつが、フットボール・ライター協会(FWA)が選ぶ年間最優秀選手賞で、投票権を持つ私は、毎年この表彰式に出席する栄誉に授かっている。

 

 今シーズンは誰に投票したか? 選ぶまでにそう悩むことはなかった。プレミア序盤戦で低迷したアーセナルを見事に蘇生させ、ゴールラッシュを決め込んだ絶対的なエースにしてキャプテンの、ロビン・ファン・ペルシだ。

 セスク・ファブレガスやサミア・ナスリといった昨シーズンの主力メンバーが抜け、それに見合った選手の獲得もなく、さらに昨シーズン目覚ましい活躍を遂げ、今シーズンのチームの軸と期待されていたジャック・ウィルシェアがシーズンのほとんどをリハビリに費やしたことを考えれば、現在のアーセナルの3位定着は、特筆に値する。その原動力となっているのが、ファン・ペルシである。

 

 他に受賞の可能性があるとすれば、ウェイン・ルーニー、いまだ優勝の可能性を残すマンチェスター・シティから数名のプレーヤー、あるいは昨シーズンのPFA年間最優秀選手賞の受賞者であるスコット・パーカーあたりだろうか。

 

だが私は、ファン・ペルシを強く推す。そして、彼の受賞を心から待ち望んでいる。

 

5月初旬の表彰式の模様は、またこのコーナーで詳しくお伝えしよう。

 

All the Best

 

 

 

 

“良心”を取り戻すきっかけとなれば

そのとき、私はニューヨークにいた。ボルトンのMFファブリス・ムアンバがFAカップのトッテナム戦で心肺停止状態に陥った、あの3月17日だ。

 

アメリカではカレッジ・バスケットボールが花盛りの時期。スポーツ界はその話題で持ちきりだったが、それでも、イングランドから届いたこのショッキングなニュースは大々的に報道された。普段はアメリカで“サッカー”がトップニュースで扱われることは稀で、どれだけ注目を集めたかがわかるだろう。スポーツの力は偉大だと、あらためて痛感した。

 

幸いにもムアンバは会話ができるほどに回復していると聞き、ひとまずは安心している。復帰への道のりは過酷だと思うが、いつの日か彼の雄姿をふたたびピッチで見られると信じたい。

 

いまでも、多くのファンやサポーターが祈りをつづけている。このように英国のフットボールシーンではかつてないほどに、クラブの垣根を取り払った取り組みが行なわれている。たくさんのスタジアムでムアンバの回復を願うチャントが歌われ、心温まるメッセージを記した横断幕が掲げられている。素晴らしいアクションだ。

 

思えばここ最近、ソーシャル・ネットワークの急激な普及とともに、クラブのサポーター間では罵詈雑言が飛び交い、スタジアムのチャントや野次も、許容範囲を逸脱した汚い言葉が、対戦相手の選手たちに浴びせられていた。

 

私は、今回のムアンバの悲劇を通して、一部の心ないサポーターたちが原点に立ち返り、チームを、そして選手をサポートするとはどういうことなのかをあらためて考えてほしいのだ。英国サポーターが持つ元来の“良心”を取り戻すきっかけとなれば……。

 

 

All the best to Fabrice Muamba.

 

 

 

 

「史上最高」を堪能できる幸せ

 歴史的な瞬間に立ち会うことができた。チャンピオンズ・リーグ(CL)の決勝トーナメント1回戦第2レグ、カンプ・ノウで行なわれたバルセロナ対レバークーゼンを取材。結果はご存じのとおり、バルサの7-1の圧勝に終わり(2戦合計10-2)、リオネル・メッシが5ゴールと大爆発した。これはCLにおける、1試合での個人最多得点記録。フットボール史上最高のプレーヤーであることを、彼はあらためて証明したのだ。

 

 ここで、ふと考える。「フットボール史上最高プレーヤー」の定義づけとはいかなるものなのかと。

 

 人それぞれで捉え方は違うだろうし、どの時代に生まれたかによって異なるだろう。実績はもとより、フェアで紳士的な振る舞いを重視するのか、あるいはカリスマ性を重視するのかなど、アプローチもさまざまだ。それでもやはり、メッシ、ディエゴ・マラドーナ、そしてペレの3人がトップ3に入ってくるのではないか。

 

 私はヨハン・クライフ世代で彼が大のお気に入りだが、「ベストプレーヤーは誰か?」と問われれば、いま現在はメッシを推すほかない。彼のフットボールに対するひたむきな姿勢は賞賛に値し、どんなゲームでも心の底からフットボールを楽しむスタンスは、観る者をハッピーな気持ちにしてくれる。ある意味で、現代フットボールの希少種なのだ。

 

 さらに言えば、その心身ともに実にタフである。彼がベンチに座っている、あるいはメンバー外になった試合はほとんどない。CLや国内カップ戦など、ターンオーバー制が日常的なトップシーンにおいても、彼はまったくと言っていいほど“休養”を取らないのだ。理由は「フットボールが好きで、いつでも試合に出たいから」なのだというが、心身両面でつねにベストコンディションを維持していなければ、なし得ないタスクだ。

 

 クライフもエンターテインメントの塊りのようなプレーヤーだったが、だれからも愛されるプレーヤーではなかった。そのエゴイスティックさはときに反感を買い、フットボールの暗部をも白日の下にさらけ出した。私の定義付けでは、やはり「ベスト」には程遠い。

 

 これから全盛期を迎えるだろうメッシ。リアルタイムで彼のトップパフォーマンスを堪能している我々は、なんと幸福なのだろうか――。そう噛み締めている、今日この頃である。

 

 

All the best

 

 

 

 

ストリートから子どもたちが――

 先日、ウェンブリーで行なわれたカーリングカップ決勝のリバプール対カーディフ。ピッチの上には“2人のジェラード”がいた。ひとりは言わずもがな、リバプールのキャプテン、スティーブン・ジェラード。もうひとりはカーディフのDF、アンソニー・ジェラードである。

 何を隠そう、アンソニーはスティーブンの6つ歳下の、実の従兄弟なのだ。不運なことに、彼のPK失敗によってリバプールが勝利を収め、6シーズンぶりのタイトルを手にしたのである。

  彼らは幼い頃から成長を共にした仲だった。学校から帰るとすぐにブルーベル団地の通りに向かい、大勢の子どもたちに混ざってひたすらボールを追いかけた。毎日ボールが見えなくなるまでストリート・フットボールを楽しんだな、けっこうタフだったなと、決勝の前、2人はそんな思い出話に花を咲かせたという。

 

 思えばわたしも、幼い頃は彼らと同じように、毎日フットボールに明け暮れていた。しかし、そのような光景は、少しずつ減ってきている。

 わたしの住むロンドン近郊では、子どもたちが街中でフットボールに興じる姿はほとんど見られなくなってしまった。最近はもっぱら、ライセンスを持ったコーチによる指導がスタンダード。子どもたちだけでプレーするのは極めて稀だ。それに比べ、わたしの小さい頃は周りにコーチと呼べる人はほとんどおらず、子どもたちが自分で考え、プレーし、その失敗から学ぶしかなかった。

 わたしはプレーヤーが自分のスタイルを失い、いつの日かゲームを楽しむという感覚を失ってしまうのではないか、と心配している。子どもたちがフットボールに費やす時間はどんどん減っており、減った時間のほとんどはTVゲームやインターネットに費やされている。

  時代が変わったと言ってしまえばそれまでだが、フットボールの発展のためには、決して良い傾向にあるとは言えないだろう。

日本ではどうなのかな?

 

All the best

 

 

 

スペシャル・ワンの復帰は秒読み段階に? 

 冬の移籍マーケットは1月31日に閉じられたが、ファンとメディアの間では、シーズン終了後に特大のトランスファーが実現するのではないかと噂されている。それが現実となれば、プレミアリーグは間違いなく活気づくだろう。

  その渦中の人物は、スタープレーヤーではない。そう、誰もが知るスペシャル・ワン、レアル・マドリーのジョゼ・モウリーニョ監督である。

  ここ数年、世界中の名手は、リーガ・エスパニョーラ、とりわけバルセロナとレアル・マドリーの二強に新天地を求める傾向にある。クリスチアーノ・ロナウドしかり、セスク・ファブレガスしかりで、シャビ・アロンソやハビエル・マスチェラーノもそうだ。プレミアリーグはリーガへのタレント供給元に成り下がり、いまや看板と言えるスタープレーヤーはすいぶんと少なくなった印象を受ける。英国人以外のビッグネームとなるとフェルナンド・トーレスが筆頭だろうが、ご存じの通り、南アフリカ・ワールドカップ以降は不調に悩まされつづけている。

  だからこそ、“ビッグネーム”であるモウリーニョの復帰は大きなカンフル剤になると期待されている。獲得レースは水面下ですでに始まっており、候補となるのはやはりビッグ6。ユナイテッドとシティのマンチェスター勢、トッテナム、リバプール、アーセナル、そして、かつて最盛期を築き上げた古巣チェルシーに戻ってくる可能性も、決してゼロではないだろう。各クラブの現監督が置かれた立場や契約年数などはどうか。シーズンが進むにつれ、候補クラブは絞られてくるはずだ。

 あなたはスペシャル・ワン肯定派? それとも否定派? いずれにせよ、プレミアに嵐を呼ぶ男の帰還は秒読み段階に入っている。もはや逃れようはないのだ。

All the best

 

 

 

 

もはや「絶命危惧種」のCFに

 期待値は相変わらず高いのですが、いまだエンジンがかからないままなのが、アン
ディ・キャロルです。ルイス・スアレスが例の人種差別発言の制裁で出場停止(8試
合)処分を受けており、リバプールの前線は人材不足が明らか。キャロルに奮起して
ほしいところでしょうが、どうにもパッとしません。

 言わばキャロルは、古き良き英国型のセンターフォワードです。長身で、空中戦に絶対の自信を持ち、パワフルさが魅力。ですが、現代フットボールにおいてはもはや「絶滅危惧種」と言えるタイプなのです。リバプールはちょうど1年前に3500万ポンド(当時のレートで約49億円)と巨額の移籍金でキャロルを獲得しましたが、パス主体のリバプールのサッカーには適応できないままで、これまでのところ高い買い物だったと言わざるを得ません。

 かつてイングランドでは、キャロルのような“ターゲットマン”がたくさんいて、重宝されていました。クサビを受けて散らす、あるいはハイボールを確実にモノにする。極端に言えば彼らの仕事はそれだけで十分で、両ウイングは彼らめがけて矢継ぎ早にクロスボールを送り、シンプルにゴールを狙う戦法がスタンダードでした。

ですが、それはもはやオールド・ファッションもいいところです。

 センターフォワードにはアスリートとしての能力値がまず問われ、戦術的な柔軟性を兼備していなければ、トップレベルでは通用しません。ただゴール前に張り付くのではなく、ときにはみずから突破を仕掛け、またはゴールを導くパスを供給し、サイドに流れてマークを分断するような動きを見せなければ、評価されないのです。ズラタン・イブラヒモビッチ(ミラン)やサミュエル・エトー(アンジ・マハチカラ)、ダビド・ビジャ(バルセロナ)などは、最先端のフットボールに適合したセンターフォワードと言えるでしょう。同じくウイングは、単なるクロスマシーンではなく、ゴールを奪うことが求められています。

 イングランドではこのキャロルと、ピーター・クラウチ(ストーク)が最後の生き残りでしょうか。ただ、クラウチはダイレクト志向のフットボールを追求するストークで活躍しています。つまり“水”が合っているのです。そういったチームであればキャロルにも再起のチャンスはあるのでしょうが、リバプールはストークとは真逆のコレクティブなスタイルを模索しており、今後もフィットできる可能性は低いでしょう。

 リードされている状況下のゲーム終盤に、パワープレー要員としてキャロルを使う――。現状ではそれがベストの起用法です。そう考えれば、3500万ポンドはやはり、とてつもなく不釣り合いな出費でした。

All the best




威厳をなくした“赤い悪魔”

 いったいマンチェスター・ユナイテッドに何が起こっているのでしょうか。カーリングカップ(国内カップ)で格下のクリスタル・パレスに不覚を取ると、チャンピオンズ・リーグでは最終節にバーゼルの軍門に降り、6年ぶりのグループステージ敗退が決定。目も当てられないとはこのことで、急激に失速しているように感じます。

 

  プレミアリーグでは2位をキープし、首位マンチェスター・シティと2ポイント差と奮闘していますが、地域のライバルとの勢いの差は明らか。年明けにFAカップでシティと再戦(アウェー)しますが、ここでも敗れるようだと、チームは空中分解してしまうかもしれません。

 

まず信じられないことに、ユナイテッドから凄味というか、威厳を感じられなくなっています。これまでほとんどのクラブはユナイテッドにとって“挑戦者”であり、オールド・トラフォード(ユナイテッドの本拠地)では常に恐れを抱きながらプレーしたもの。ところが今シーズンは、そんなムードが微塵もないのです。ビジターチームの多くが、意気揚々とオールド・トラフォードに乗り込み、あっさりとポイントを持ち帰っているのです。

 

スター不在も大きく影響しています。現在、ユナイテッドで一番の大物と言えば、指揮官のサー・アレックス・ファーガソンでしょう。悲しいかな、それが現実です。かつては、エリック・カントナ、デイビッド・ベッカム、ロイ・キーン、クリスチアーノ・ロナウド、カルロス・テベス、そしてポール・スコールズら、チームをぐいぐいと引っ張る唯一無二の巨星がいました。そんな存在が一人もいない。確かにウェイン・ルーニーはビッグスターでしょう。ですが現在は生憎トップフォームとは言い難く、結果としてチームを不調に追いやっています。

 

とはいえ、このような逆境を糧とし、成功へと転じられるのが、ユナイテッドという名門クラブの底力です。厳しい時期を乗り越え、シティの追随を許さず、タイトル防衛というミッションを達成できるのか。もうすぐ70歳を迎えるファーガソン監督(誕生日は大晦日)が、尽きることのない野心をさらに駆り立て、見事立て直すのか。

 

2012年のイングランド・フットボール界における、最大の関心ごとの一つです。

 

All the best




ガンナーズの正念場はこれから

マンチェスター・シティの快進撃が止まりません。先週はアンフィールド(リバプールの本拠地)での過酷な一戦もドローに持ち込み、自慢の破壊的なアタックのみならず、チームとしての粘り腰も出てきたように思います。本当に、末恐ろしいチームです。

 

 

ダビド・シルバやセルヒオ・アグエロら名手の活躍には目を見張るものがあります。個人レベルで言えば、ウェイン・ルーニーとガレス・ベイルのパフォーマンスも素晴らしいですよね。いずれも間違いなく、「プレーヤー・オブ・ジ・イヤー」の候補者でしょう。ただわたしがもっとも推したい選手は、別にいます。アーセナルのロビン・ファン・ペルシ(写真)です。

 

 

 

 

 

 

 

セスク・ファブレガス(バルセロナへ)とサミア・ナスリ(シティへ)を引き抜かれ、シーズン序盤のアーセナルはまさしく、難破目前の船のようでした。そんなチームを救ったのが、心身ともに充実し、エースとして君臨するファン・ペルシ。彼のゴール量産とともにV字回復を見せており、当初は絶望視されたチャンピオンズ・リーグの出場権(プレミアリーグ4位以内)も、十分に狙える位置までジャンプアップしてきました(12月1日時点で7位)。

 

危険なのは、アーセナルがファン・ペルシへの依存度を極度に高めている点です。怪我がちで、いつ戦線離脱してもおかしくない“ガラスのエース”であるにも関わらずです。そういった意味では、綱渡りの快進撃と言っていいのかもしれません。

 

シティがトップを独走し、彼らを追うべきマンチェスター・ユナイテッドやチェルシーの調子が上がらず、ニューカッスルとトッテナム、リバプールがハイパフォーマンスを披露。今シーズンのプレミアリーグの上位争いは混沌としています。でもやはり、ガンナーズ(アーセナルの愛称)が食い込んでこないと面白くないですよね。日本にもたくさんのファンの方がいるでしょうし、わたしも期待しています。

 

長期政権のヴェンゲル監督。その舵取りに注目が集まっています。

 

All the best

 

ふたたびバルセロナへ

先日、約半年ぶりでカンプ・ノウを訪れました。いつ足を運んでも感じるのは、FCバルセロナというクラブ、そしてチームは、世界最強であるという現状に満足せず、常に上を目指しているという点です。本当に素晴らしい。

 

ℂGetty Images

 

ちょうど私が滞在していたタイミングで、新しいラ・マシア(下部組織の寮)の落成式が行なわれていました。育成を重視し、利益を設備投資にしっかり還元する。ラ・マシアはバルサというビッグクラブのまさしく象徴でしょう。チームは欧州王者となっても驕る雰囲気は微塵もなく、クラブ全体のムードが謙虚そのものです。フットボールに全てを捧げる人々が築き上げた伝統と格式。バルサが世界中のファンから愛される所以でしょう。

 

聞くところによると、カンプ・ノウで開催されるホームゲームには、毎試合6~9000人の観戦ツアー用の席が用意されていて、その競争率たるや尋常ではないようです。通常のほとんどの席はシーズンチケットホルダーやソシオ会員に占拠されていますから、それも当然でしょう。

 



ただ考えてみてください。毎試合6~9000人の新参サポーターがカンプ・ノウに訪れる、その経済効果を。クラブグッズを扱うメガストアではお土産を求める彼らでごった返し、その大半がレプリカユニホームを買うと考えれば、相当な利益が見込めます。

 

そう言えば、メガストアで面白い光景を目にしました。レプリカユニホームのコーナーでは有料で背中に名前をプリントしてもらえるのですが、3つあるカウンターの客がほぼ同時に、

 

「メッシ!!」

 

とオーダーしたのです。あまりにもタイミングがぴったりで驚きました。いったいスタッフは一日に「MESSI」と「10」を何枚プリントするのでしょうね。

 

そのうち、息子のルーカスと同じくらい(7~8歳)くらいの少年が、スタッフからメッシのユニホームを受け取ると満面の笑みを浮かべ、振り向きざまに両親にキスをしていました。なんとも美しい光景です。

 

フットボールの醍醐味と奥深さ、そして美しさが凝縮された空間。バルセロナはいつ訪れても、期待を裏切らない場所です。

 

All the best